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初めて運転した日

 

初めて車を運転した日を皆様は憶えていますか?

記憶力ゼロの私ですが、この日の事は今も憶えています。

免許取得はすんなりといきましたが、

やはり公道デビューは不安と恐怖

そして助手席の殺気で

心臓がバクバクでした。

 

・・殺気の正体は父です

父は仕事人間だったので、うるさい父とか優しい父と

形容するなら わからない父 でした。

一緒に過ごす時間が極端に少なかった為、

何を考えているのか、怒ると怖いのか、冗談を言う人なのか

とにかくデーターが無いのです。

 

その謎多き父が助手席で殺気だっているのです。

もう泣きそうです。

しかもいつのまにか助手席側にバックミラーが吸盤で

2個付けてあり、前のめりの無言です。

 

さぁスタートはどうするんだっけ?

とか

落ち着いて大丈夫だから

とか

何も言ってくれず、ソロリソロリと出発しました。

 

しかーし!運転を始めたら横から 

こっちは来てない! ハンドル真っすぐ!

ウインカー用意! 黄色信号もうすぐ!

真顔で2個のミラーとにらめっこしている父から

指示が飛んできます。もう恐怖です

 

そんな恐怖のドライブで着いた先は秋ヶ瀬公園でした。

夕方人もほぼいない公園に車を停め、広場に出ると

野球ボールが落ちてました。

ドラマみたいに、、

もちろんキャッチボールをしました。

ドラマみたいに、、

 

帰りは運転してもらった気がします。

その時父は 

すごく緊張した、生きた心地がしなかった

と本音をもらし少し笑っていました。

 

謎の父から、えらく心配性の父にアップデートした瞬間でした。

 

それからは私も父を、父も私をドライブに誘い色んな場所に

行きました。口数の多い父ではないですが、きっと小さい時に

できなかった触れ合いを取り戻したかったのかなと思います。

そして私も父の存在をより大きく感じた大切な時間になりました。

 

今現在父は免許を返納して隠居暮らしですが、

あの時のミラー2個は異常だったとか

2人で食べた山奥のネギ味噌ラーメンが美味しかったとか

今でも時々2人で盛り上がり話しています。

 

皆様の初運転、いい思い出になりますように

それではまた